不安を取り除くこと

~自閉症者の支援について、我が子の場合~

大切なのは、不安を取り除くこと、安心を与えること。

彼の行動は不安感から来ている。(最近医者に「根底にあるのは不安感だ」と言われた)
だから脅迫的な思いにもかられ、同じことを繰り返したり、破いたり壊したりする。
心が平安でないのだ。どこかに不安な要素があるのだ。
自閉症の根底にある症状は、不安感ではないかと思うようになってきた。
自閉症の子が「こだわり」を持つのも、安心を確保するためではないかと思う。
安心できれば少しずつ執着も減少するのではないだろうか。彼らが得たいものは「安心感」なのである。

まずは、薬を考えるだろう。緊張をほぐし、安心感を与える薬。
だが「薬」だけでは解決しないこともある(副作用も起こりえる)。もちろん薬や栄養も大切だし、腸内環境を整えセロトニンを増やす工夫も必要だろう。朝日を浴びながら、外を散歩するのもいいらしい。そして、彼を取り巻く環境すべてが「安心」できるものであるべきである。

安心できる環境を用意してあげること。
脳の機能の問題であったとしても、できることをしてあげなくてはいけない。

安心できる人がいること。安心できる環境であること。
「大丈夫だよ」「心配しなくてもいいよ」「ちゃんとあるよ、いつもどおりだよ」と言ってあげる。確認させる。見通しを立てさせるのもそのためである。不安だから何度も確認している。あるべきところに、あるべきものがある(確認作業・間違い探し?)のも、安心を得るためである。繰り返す、イライラしていたり、声をあげたりするのは不安だからである。

支援者が心掛けること。
笑顔で接すること、落ち着いて、肯定してあげること。
否定すると不安になる。もっと否定するとパニックになる。(ひどくなると発作が起きる)
常識的には無茶苦茶なことであっても、いったんは肯定し、徐々にいい方向へと誘導してゆく。

「安心を与える」ということを一番の支援目標におく。
肯定してあげること、「大丈夫だよ」と言ってあげること。物理的にも整えてあげること。
安心できるようにしてあげること。安心できれば落ち着いてくる。

そのように祈り、そのように接すること。愛すること。愛されると人は安心する。
Peace be with you.

〇 「安心」を与える

躾ができていないと思われるかもしれない。常識から見ればそうである。
しかし、それが通用しないのが障害(自閉症・発達障害)なのである。
それが簡単にできるようならば、自閉症児の親は苦労しない。そもそも障害とは言わないだろう。
本人は、死ぬほど苦しんで、パニックや発作を起こし、自傷や他害に発展する。何十年とその繰り返しに苦しみ、薬漬けになることもある。

躾の問題とは根本的に違うのです。(世間の健常な人と同じ事情ではない)
我慢すればいいというものではありません。

健常者の理屈は通らないのである。
相手の立場、相手の抱えている事情に立っていない。立ち位置が異なるのである。
本人の思考や感覚は、我々と異なる。過敏であり偏りがあり、大きな「不安感」を抱えている。
問題行動と言うより、どうしようもなくてそういう行為に至っているのだ。

スーパーマンが凡人に、「なんで透視できないんだ、なんで岩を砕けないんだ、なんで空を飛べないんだ」と言っているようなものである。無理やりさせようとして、凡人は「そんなことできるわけないだろう!」とパニックになるのが関の山である。善意で教えていたとしても、相手の障害に目を向けず強要したなら、虐待しているのと同じである。

文句があるなら、同じ土俵に立ってから言いましょう。まず相手の不安感を取り除いて(安心を与えて)あげてから言いましょう。せめて、興奮が収まってから伝えましょう。まずは、「大丈夫だよ」と肯定して落ち着かせることが第一です。その後で、安全な方向へ誘導しましょう。早めに切り替えることができたら上出来です。

興奮している時に「ダメ!」と言ったら、火に油(ガソリン)を注ぐようなものです。爆発してパニックになります。

躾をするなら、説明して、相手がちゃんと理由を理解した上で行うならOK。
でも理由を理解できないまま否定すると、単なる攻撃、嫌がらせにしかならない。相手は支援者に敵意を感じ、激怒し、興奮してパニックとなる。特に知的にも重度の人は難しい。否定されたとゆうことに敏感である。一点集中なので、一つの小さなことでも全否定されたように感じている。理由がわからないから、交渉することも難しい。(折り合いがつかない)言葉が理解できないから、長い年月をかけて良い習慣・良いパターンを身につけてゆくしかない。

最重度になると、文字も読めなければ、お金や物の価値もわからないし、安全・危険もわからない、信号赤青の区別もつかない。きれい汚い、ゴミといる物の区別もつかない。自他の区別もつきにくいし、していいことと悪いことの区別もつかない。周囲がどんなに困っていたとしてもおかまいなしだ。紙は破くし、糸くずは気になる、気に入らないものは捨てる。何度も同じことを繰り返す。偏食があり、薬が飲めない、絆創膏も貼れない。じっとしていないから散髪屋にも行けない・・・上げればきりがないほど問題点は出てくる。

記憶に残るのは言葉(意味が分からない)ではなく、場面の映像である。強く印象に残った出来事ほど同じことを繰り返す。意味ではなく映像をもって答え合わせをしている。ちょっとした配置や順序が気になることがある。あるべきところにあるべきものがなくては困る。いい印象を残す、楽しかった思い出を作る、そのような記憶をリピートさせたいものである。

物理的なこと、外面的なことばかり上げてみたが、もちろん人であるから「心」もある。彼らは相手の心の状態を敏感に感じ取っている。好意的な人か、否定的な人かで全く反応が違う。相手の心の写し鏡のようになる。人をよく見て区別している(人を選ぶ)。穏やかな人が接すると、穏やかになる。

否定することなく教える(方向転換する)という技術は、今後さらに必要になると思う。

〇 幸せホルモン

原因はいろいろ考えられる。
環境汚染によるもの、自然から離れ多様性を失った(適応力の減少)こと、遺伝。食事と栄養、腸内環境とセロトニン、脳内のニューロン・ネットワーク、シナプスと神経伝達物質。関係性や育て方、心理面での影響、いろんなことが多角的に考えられる。わからないことも多い。わからないことの方が多い。でも親は、子を投げ出すことは出来ない。

成人すると、大きく症状が変わることはなくなってくる。(劇的に改善することはない)
今ある症状とうまく付き合いながら、平穏に過ごす方法を考えた方がいい。なんとか、一日一日を平穏・無事に、機嫌よく過ごしてもらいたい。

一つ、「安心感」を与える方法として、“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質についてふれておこう。

自閉症は「脳」の障害であると言われているが、脳とは1000億個のニューロンの集合体である。その一つ一つはシナプスによって繋がれており、そのつなぎ目は隙間(5万分の1mm)があって、電気信号を神経伝達物質にかえて伝えている。脳は神経のネットワークによって機能しているのだ。

〇 セロトニン

神経伝達物質の過不足が脳の機能に影響を与える。その中で、「精神の安定」をもたらす重要な物質がセロトニンなのである。平常心を保つ、精神の均衡を保つためのホルモンと言える。これが不足すると感情のコントロールが難しくなる。(向精神薬はセロトニンに関する薬が多いようだ)

そのセロトニンの8割が腸で、腸内細菌の働きにより生成されている。その為、腸内環境を整えることが大切です。セロトニンの原料はタンパク質(トリプトファンというアミノ酸)+ビタミンB6。そして腸内細菌の餌となる食物繊維である。ある意味で、腸が幸せを生み出す土台となっていると言えなくもない。

効果的な取り組みは、
① 朝の散歩(朝日を浴びる、リズム運動をする)

② 自然の中で過ごす(畑で自然に触れながら、健康野菜を収穫するというのは理想的である)

③ 整腸剤を飲み、バナナを毎日
1本食べる

朝日を浴びることによりセロトニンの分泌が促進される。リズム運動も良い。代表的なものはウォーキング(散歩)とラジオ体操である。(すがすがしい、明るい気持ちになる)
なぜ朝がいいかというと、セロトニンは
15時間後に分泌されるメラトニンの原料であり、睡眠へ誘導され生活リズムが整うからです。

人が多様性を高めて精神の均衡を保つためには、自然の中で過ごすのが一番である。
趣味で畑をやるのも一理あるのだ。

プロテインとビタミンB、食物繊維を摂ることも大切だ。
バナナには、トリプトファンとビタミン
B6、植物繊維の3つとも含まれている。
「整腸剤(ビオスリー
Hバナナ」だとさらに効果的だと言う。

整腸剤に「酪酸菌」が含まれていることがポイント。酪酸菌は、酢酸・酪酸・プロピオン酸などの「短鎖脂肪酸」を生成し、腸粘膜の粘液(ムチン)の分泌を促進させます。荒れた粘膜を修復し、大腸のバリア機能を回復させます。これにより、自閉症の原因の一つとされているリーキー・ガット・シンドローム(腸漏れ症候群)の治療につながります。毒素が体内に入るのを防ぎます。

近年、小麦や乳製品でアレルギーを起こす子が多いと聞きます。(グルテン不耐症・カゼイン不耐症)
未消化のタンパク質(ペプチド)が腸壁の穴から侵入し、体調や精神に異変をもたらすのです。カゼインとグルテン由来のグリアジンという物質のアミノ酸配列は、モルヒネにそっくりだと言います。その結果、情緒不安定になったり、うつになったり、興奮しやすくなったりします。
発達障害の治療としてGFCFダイエットは一定の効果を上げています。

酪酸は大腸の主要なエネルギー源であり、酪酸により酸素が消費されることで、大腸内がビフィズス菌や他の有用菌(善玉菌)が棲みやすい環境になります。ちなみに、短鎖脂肪酸は体脂肪を減らし、太りにくい体を作ります。(ダイエット効果あり)

酪酸菌の餌となるのが食物繊維とオリゴ糖です。

朝食に卵と味噌汁と野菜サラダ(漬物)というのもいい。
玄米を中心に「一汁三菜」が基本の、「伝統的な日本食」がいいようです。

でも、いきなり難しいことは出来ませんと言う方は、整腸剤を飲み、バナナを食べて、日の光を浴びながら、散歩をすればいい。難しく考えず、シンプルにやった方が続けやすい。

〇 自閉症者への支援

彼らの不安を除去する方法を考える。
これはとても難しいけれど、取り組まなければならないことである。

奇異と見られる行動のほとんどは、不安から逃れる自己防衛の為です。
そもそも、不安感がないなら、脅迫感もなく、声を上げることもなく、こだわりも減り、繰り返す必要もなく、落ち着いて何かをしている。ほとんどの問題行動はなくなるのである。無理やり行動を矯正させようとするのではなく、「安心」を与えるのです。時間がかかったとしても、そうすることによって、こだわりや問題行動が緩和し、自然と消えてゆく方向に導くのです。

不安感を取り除いてあげることが、自閉症者への支援です。
言葉を換えれば「安心を与えること」です。
どうすれば安心して生活ができるかを考えるべきです。物理的にも心理的にも、あらゆることにおいてそれを考えます。安心して、落ち着いて過ごせるようになることが支援目標です。

まずは不安を取り除き、安心して過ごせるようにすること。
その具体的な方法は、本人の特性に合わせて行うこと。健常者側の思惑で判断しない。
「安心」した状態で行っていることは、他者に迷惑が掛からず、許容できるものならば、多少のことは大目に見ること。(こだわり故に浪費することが多いけれども)
おおらかさが必要である。「許す」ことのトレーニングだと思えばいい。
キリストは「七の七十回許せ」と言われたが、自閉症児の親は7の7000回くらいは許す覚悟がいる。

「安心」を与えることが第一の解決方法である。
彼等にとっての「安心」はなんであるかをよく考えてみよう。安心して過ごせるように工夫しよう。

子どもの不安が解消し、彼らが毎日、穏やかに、ニコニコと機嫌よく過ごせるようになったら、嬉しい。
そのように、子供が安心して住める場所と、支援していただける人が見つかったなら、親は安心して死ぬことができる。「親なきあと」の課題もようやく解消されてゆくだろう。
それまで、親は頭を下げ、唯々お願いしますと祈るばかりだ。

2025.12.30